Lesson6 睡眠を侮るなかれ 睡眠の恩恵を受けると人生が好転?

 

睡眠に隠された大いなる恩恵

次は睡眠についてです。Lesson04でも参照したマズローの欲求5段階説では睡眠も生理的欲求の1つと言われ、疲労回復・ストレス解消・肌質改善・肥満防止・記憶の整理や定着などメンタルに直結する重要な部分を担っています。

人生を時間軸で考えた時、睡眠が占める割合は全体の1/3と言われています。それに加えて “眠りの質” は起きている2/3の時間に影響しており、睡眠以外の時間を有効活用するためには、睡眠時間を確保するだけでなくその質を上げることも欠かせないという事が容易に想像できるのではないでしょうか。
近頃は、残念なことに睡眠の大切さが軽視されてしまい、睡眠以外の時間も有効活用できいない人が多い様に感じます。

 

現在の問題点

睡眠は『ノンレム睡眠』と『レム睡眠』という2つが組み合わさって脳と身体を交互に休ませ、回復させているのですが、近頃スマートフォンやパソコンの普及率増加と共にこのバランスが崩れ睡眠の質が低下、睡眠時間自体も短くなっていると言われています。
電子機器などから発せられるブルーライトが眼精疲労や視力低下を引き起こすのは有名な話ですが、それだけではなく肌老化を招いたり、睡眠を促すメラトニンの分泌を抑制し良質な睡眠を阻害したりするとも言われています。もちろん睡眠の質を阻害する原因はブルーライトに限りませんが、大きな要因であることは間違いありません。

 

睡眠不足が与える影響

睡眠不足を自覚していない場合でも、イライラしやすい・ストレスを感じやすい・疲れやすい・集中できない・どか食いしてしまうなどの症状があった場合、十分な睡眠を取ることができていない可能性があります。また、睡眠不足はメンタル部分に限らず、生活習慣病などの発症リスク増大や持病がある場合には病気を進行させる可能性があるほど身体への負担も大きなものなのです。

的確な判断も危うくなるような状態のカラダで(睡眠時間6時間の脳機能は泥酔状態と同等と言われています)「メンタルを健全にしましょう」「思考整理しましょう」「俯瞰しましょう」と言われても難しいことは、想像に易いと思います。

 

理想的な睡眠3選

では理想的な睡眠、質の良い睡眠とはどのような状態でしょうか?
大まかにいうと
①寝付きが良い
②熟睡感がある
③寝起きが良い
この3つであると言われています。

これらの状態を作るために生活の中で工夫できることを以下にまとめましたが、睡眠の質を上げるためには食事による糖代謝が十二分にされていることが前提条件となる事をまずお伝えしておきます。

 

①深部体温を下げる

体温は日内変動とも呼ばれる1日に約1度のアップダウンがあるとされ、この体温のアップダウンが睡眠と深く関係していると言われています。体温には脇や口腔内で(体温計で)測定する表面温度と内蔵などの深部体温の2種類があるのですが、質の良い睡眠には深部体温がいかにスムーズに下がるかが鍵になります。

眠くなると手足がポカポカした経験はありませんか?これはまさに自律神経の働きで、末梢血管が拡張し手足から放熱することで深部体温を下げているのです。これを意図的に行うことができるのが入浴・足湯・湯たんぽです。
わたしのおススメは断然湯たんぽ。朝に向けて徐々に冷えてくる湯たんぽに反比例して人の体温は上がるため、カラダへの負担が少ないことから昔から重宝されているアイテムです。一方で電気毛布や電気アンカは一定の温度を持続し続けるために睡眠中に変化する体温との間に差異が発生し、結果的に睡眠の質を下げると言われています。

 

②寝具・寝衣の工夫

日本には四季があり、季節によって快適に眠れる室温が異なると言われています。ある文献によると「夏は28℃以下、冬は10℃」と言われるほどで、年間通して快適温度が違うことが分かります。

冬場は、冷えによって寝付きが悪くなることを回避するために重ね着や靴下を履いたまま就寝する方がいると聞きますが、カラダを締め付ける寝衣は血行不良を起こすため起きている時より活動が少ない睡眠中はうっ滞しやすく、睡眠の質を下げる要因になるためおススメしません。
とはいえ諸説ありますので、いろいろと試してご自身の好みに合う方法を見つけてみて下さい。

 

③夜間の電子機器使用や強い照明の使用を控える

先にも述べたように電子機器や照明が睡眠に与える影響は非常に大きいので、眠りにつく2〜3時間前には電子機器の使用を控え、間接照明に切り替えるなどブルーライトを避ける工夫をすることをおススメします。

逆に、ロウソクの光は「1/fゆらぎ」というリラックス効果があるとされ睡眠へ誘うサポートになると言われています。可能であれば手持ちの間接照明や、ロウソクを炊くなど睡眠導入のための準備をし、自分なりの睡眠導入のためのルーティンを確立させるのも1つの方法です。

 

④夜間の大量の飲酒を控える

飲酒が与える影響は肝臓だけに留まらず膵臓・消化管・循環器・脳・末梢神経など全身の臓器に障害を及ぼす可能性があります。また日本人はアルコール摂取時に発生するアセトアルデヒド(毒素)を分解する酵素を持たない人も多いと言われています。

寝酒にアルコールを摂る方もいると思いますが、「酒は百薬の長」といわれる適量は純アルコール20g前後(ビル:500ml、日本酒:1合程度)です。睡眠に与える最も大きな影響としては、脳がアルコールによって興奮状態となること。飲める量はかなりの個人差がありますので一律に考えるのは難しいですが、自身が分解できる量を超える多さの飲酒には注意が必要です。

 

⑤アロマなど好きな香りを炊く

③でも述べた睡眠導入のルーティンにも関連しますが、あなたが安心する香りを枕元に置くということも睡眠の質を高めるために有効な場合があります。

嗅覚というのは五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)の中でも脳にダイレクトに作用する唯一の感覚と言われているため、嗅覚からのアプローチも有効です。香りの成分やあなたの資質によって効果に差はあると思いますが、活用する場合には必ず100%天然成分の「精油」を選んで下さい。

 

⑥食事を抜かない

先にも述べましたが、食事のコンディションを整えて糖代謝が十分にできていなければ、睡眠の質を上げることは難しくなります。その鍵は糖代謝にあります。巷ではダイエットの視点から「就寝前3時間は食事を控えましょう」と謳われることがありますが、わたし自身の経験から言うと何をどう摂取するかを気を付ければ何時に食事を摂っても問題ないと感じています。

睡眠中は眠りを維持しながら、消化・吸収を促進させて、体のあらゆる機能を修復するため、思っている以上にエネルギーを使います。にも関わらず空腹状態で睡眠を取ると、睡眠中に行われるはずのものにエネルギーが足りず、どこかに歪みを生じてしまいます。
効率よくエネルギーになるのは糖です。睡眠前にはあえてお米やハチミツなどの糖を摂取することをおススメします。

 

ワーク

あなたの睡眠状況はどんなものですか?

例:睡眠時間はどれくらい?だいたいの就寝ー起床時間は?寝付き・寝起きの良さはどうですか?熟眠感はありますか?日中の眠気はありますか?睡眠のために気を付けていることはありますか?あなたが考える睡眠を障害するものは何だと思いますか?眠れないことで感じる身体的・精神的症状はありますか?

何度もお伝えしますが、あなた自身を良し悪しでジャッジするためのものではなく、あくまでも現状を知るための「書く」という練習です。急に慣れない思考整理をするよりも、今思い返せばわかるものを書いていくことで段々と書くことに対する抵抗感も薄れてきますよ♪